One Wish

下だけを向いて長い間歩いていた。
その内視界から見えるものが全てだと感じ、その枠でしか物が考えられなくなっていった。
下にあるのは一つ、どこまでも坦々と伸びた道。
ある人が唐突に言った「下、向き過ぎじゃない?」
俺は笑った、そんなことないですと冗談めいて、話題を変えた。
その後自宅に着く間、モヤモヤとした蟠りが胸を重く締め付けた。


その時、無意識に心の中で「どうしようもないのだ。」と答えていたんじゃないかと思う。
下を向くことが当たり前になっている事、それが全てだと信じて已まない自分。
あの時の俺はきっとダンディズム漂う渋い顔だったに違いない。(渋茶を飲んだ時にたまに見れる。)


今の自分は少なからず前を見るようになった。
やりたい事も見つかり、計画の目途も立った。
新しいその視界は何もかもが新鮮で、無駄なことは何も無いとそう考えられるようになった。
まだまだ目指す先のその道は程遠いし、辿り着くまでに何度も躓くだろうと思う。
でも大丈夫、人は思ったより強い生き物なのだから。


今現在「渋顔」